実は塗装職人が大嫌いでした
今まで誰にも言いたくなかったことをお話します。
昭和39年。私が生まれる1年前より、
父が栃木県宇都宮市で沼田屋塗装を創業しました。
ですから、生まれたときから塗装職人に囲まれ、塗装職人の世界を見てきました。
私の幼かった当時は、建築ブームなども重なり塗装職人の世界は
とても威勢がよく、とても荒々しい感じがしました。
塗装職人イコール
「気が短い」「気性が激しい」「頑固一徹」
「家庭より仕事」「こだわり」「無口」
まさに、そんな人ばかりでした。
(当時と違い、今の塗装職人さん達はだいぶ様変わりしています)
ドンちゃん騒ぎの毎日
私の幼いころの記憶といえば、
弊社、沼田屋塗装で働いていた職人達のみならず、
いろんな職種の職人達が弊社(兼自宅)に集まり、
毎夜毎夜飲めや歌えやのドンちゃん騒ぎ。
中にはおしっこをもらしたまま飲み続けているような職人もいました。
ですから、2階の寝床に入ってもうるさくてなかなか眠れないのです。
そして、夜中の1時ごろでしょうか。
ドンちゃん騒ぎがやっと終わり、
ようやく眠りにつけたのもつかの間。
何件かはしごをしてから最後に、また数人で必ず戻ってきて
飲みなおしが始まるので目が覚めてしまいます。
ちゃんとした睡眠時間は3時間ぐらいでしょうか。
小学校へ行くともう眠くて眠くて仕方ありません。
当然、授業中は居眠りです。
しょっちゅう先生に怒られていました。
時には仮病を使って保健室で寝ていたこともありました。
生まれてこなければ良かった
そんなことを繰り返されていると
「こんな大人やだ!」
「こんな大人にはなりたくない!」
「なんでこの家に生まれてきたんだろう」
「自分なんか生まれてこなければ良かったのに」
こんなことさえ思うようになりました。
睡眠不足だけならそうは思わなかったでしょう。
毎日のような飲み会で、支払いはこちら持ちです。
仕事で稼いでも稼いでも飲み代に消えてしまい
生活は楽ではありません。
何かと質屋さんにお世話になっていたようでした。
それが原因で親の夫婦喧嘩も頻繁に起こるようになりました。
バリウム
そんな事のためか、たびたび胃が痛くなり
レントゲンを撮るため、小学1年生でバリウムを
何度か飲んでしまいました。
そんな環境で育ってきましたので
「職人の世界だけには決して入らない」と
心に誓うようになりました。
やがて、誓いどおり大学卒業後、地元の銀行に就職することができ、
これで職人の世界ときっぱり縁が切れることとなりました。
銀行員を辞めた理由
銀行に入行してから約4年ほど経ったころ、
母と久々に会って話をしていると
「気のせいか、やたら顔のしわが目立ってきている」のが気になりました。
すでに20年以上、
女ながら父と一緒に屋根上や足場の高いところで作業し続け、
太陽光をたくさん浴びているせいでしょうか、
実際の年齢よりもかなり老けて見えたのです。
そんな母を見て
「そろそろ、仕事辞めてもいいんじゃない?」と聞いてみました。
すると母は、お客様から
「ていねいにやってくれてありがとうございます」
と言われることが何よりもうれしく、
それが「今の生きがい」
だから「まだやめたくないんだ!」と言うのです。
私は、そんな母の一言が妙に引っかかり
「へー。そんなにお客さんに喜んでもらえるんだ」
「ふ―ん。自分はそんなにお客さんに喜んでもらったことがあったかなー」と
あれやこれやと自問自答するようになりました。
それから、いつしか自分も
「お客さんに喜んでもらえるような仕事がしたいなー」と
日に日に強く思うようになり、今の仕事よりも職人の世界のほうが、
自分にとっては仕事の喜びを感じられるのではないか、それでは・・・・
母の一言より約1年後。
妻に「銀行辞めようかなー」とささやくように言ってみると・・・・
普段はおしとやかでおとなしい妻が
鬼の形相のようにみるみる変わっていくのでした。
理由もおろか日常会話さえしてもらえず2週間が過ぎたある日。
妻から「どうして辞めたいの?」とようやく理由を聞いてきてくれました。
私はこれまでのいきさつを話し、どうしてもお客様から
「ていねいにやってくれてありがとう」と
いわれる仕事がしたいということを理解してもらいました。
喜びの原点
あれだけ嫌っていた職人の世界、
実は私にとって喜びの世界でもあったのです。
母に教えられた喜びの原点
「ていねいにやってくれてありがとう」と、お客様が喜んでくれて
そして、お客様よりそう言われることは
私達にとって何よりも喜びです。財産です。
だからこそ
「ていねいにやってくれてありがとう」にこだわるのです。
それが私の使命であり、天職なんです。
きっかけをくれた母に感謝。
天職にめぐり合うことが出来て、本当に幸せです。
私達はその思いをむねに、毎日仕事をしています。
その思いがお客様に相通じて
「ていねいにやってくれてありがとう」といって頂いて、
喜んでいただいていると確信しております。
株式会社 ヌマタヤ
代表取締役 矢口勝男
代表取締役 矢口勝男
投稿者:ヌマタヤ|2007年3月16日 17:55|
カテゴリ :あいさつ
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